田野畑の「おいしい!」を育む人を紹介するシリーズをスタートします。
その第1弾「うみのひと。」で登場するのは、漁師・佐藤広為(ひろため)さん。
50代でも青年部(!?)というちょっと変わったモノサシの田野畑村において、いまだ40代前半ながら漁協のサケ漁 自営定置網大謀という重責を務める佐藤さん。今回はホヤの収穫作業に同行させてもらいました。
若いとはいえ、キャリアは十分。地元・田野畑に戻って早20年。父の代で始めた漁師業を受け継ぎ、以前は捕鯨船にも乗り、今はサケ漁を中心にホヤの養殖なども行っています。
ホヤの旬は、夏。7〜8月にかけて大きく育ったホヤは、食通の舌をうならせる美味ですが、実は初春のホヤも知る人ぞ知る珍味なのです。「まだこれから成長しますが、このとろけるような食感が好きだという人も多いんですよ」とは、佐藤さん。
緩やかに波がたつ弁天漁場は、ちょうど明戸川との合流地。山から流れこむミネラルたっぷりの清流が、ホヤをおいしく育てます。この時期の佐藤さんの仕事は、貝や雑草などをこまめに取り除き、ホヤが育つ環境を整えること。引き上げたロープに付いたホヤをその場で開けると、鮮やかなオレンジ色の実がビッシリです。
真夏のホヤとは一味違った旨みがあふれ出します
出荷量が限られているので、入手できるのは村内の魚屋や食堂などごく一部。「ホヤは刺身や蒸しホヤ、塩辛も旨いよ!」と漁師らしく(!?)酒好きな佐藤さんはニコリと笑います。
春先以降は、サケの定置網準備がスタート。ワカメ、タラ、イカ、サバ、マグロなど、旬の魚介が揚がる田野畑の漁港は徐々に賑やかになっていきます。