「えっ!?」と思った人がほとんどと思いますが、この写真(上図)何だか分かりますか?
寒風にさらされているようですが、干し柿にしては白すぎる。寒干大根にしては形がヘン。色と形だけ見れば、ヘチマ?に見えなくもないですが、それは夏ならばの話。こんな厳寒の季節に吊るし干しするはずもない…
こうアップにしても分からないかもしれませんが…
この正体、実は、ジャガイモ。ジャガイモの寒風干し。
そんなもの何にするの!?と、これまた思われたかもしれません。
これこそ、田野畑自慢の「いもだんす」になるんです。
「いもだんす」…? いもダンス…?? 別に踊るわけじゃありません。
“だんす”とは、この地方ではだんご(団子)の意。つまり“いもだんす”とは、ジャガイモのお団子。これをあんこと一緒に食べる。お汁粉のような料理です。
一般には小麦粉とイモの粉を混ぜてお団子にするのがふつうですが、この日は地元で採れたキビの粉と合わせました。
(「思惟大橋レストハウス」の皆さんの料理試作・検討会にお邪魔しています!)
モチモチ感バツグンのイモ&キビのお団子が、甘じょっぱいあんこと絶妙な絡み具合で美味!
ホッと癒されるような味わいですが、同時に元気も出てきます。
それもそのはず、この「いもだんす」用の粉、もとはといえば冬場の保存食。周囲を雪で閉ざされ、食料が乏しくなったときに備え、長期保存できるようにジャガイモを寒締めし、粉にする。そうすれば1年以上もゆうに保存ができ、用途も広がる。そこから生まれた料理が「いもだんす」。
お汁粉といえば甘味(デザート)ですが、「いもだんす」は立派な食事代わりだったのですね。食べてホッコリしている場合じゃない。人が暮らしていくための重要な活力源だった。だから元気が出なきゃ困るんです。
ただ、実はこの「イモの粉」、作るのがあまりにも大変なため、ここ田野畑でも今や作り手が1組しかいなくなっているんです。
水にさらして、干して、粉にする。言葉にすればそれだけですが、その手間たるや… ましてや極寒の時期に、川のなかにイモのみならず、自らも入って作業しなければならない… 作り手が次々いなくなるのも無理ないことかもしれません…
しかし、そんな中でも貴重な「いもだんす」用の粉を残そうと、今なお作りつづけている菊地フチさん&英光さん親子にお話を伺ってきたのでレポートします。
「田野畑名物“いもだんす”はこうして出来る 〜 その2」はコチラ