一生、忘れない おにぎり

「沼袋、おにぎり300〜!!」
この言葉にどれほど勇気づけられたか…

震災のとき、全てを失くした私たちの元に内陸部の方々から続々と届けられたおにぎり。「沼袋、おにぎり300〜!!」「明戸、おにぎり400〜!!」そうして届けられたおにぎりに、私たちがどれほど勇気づけられたか。文字通り、生きる力を与えられました。 やっぱり人間は、食べなければ生きていけない… あのときの声。あのときの風景。一生忘れられません。

そう語ってくれたのは、田野畑村漁協 岩泉浦女性部のメンバーで周囲からの人望が篤い工藤房子さん。

大変な時でしたけど、良い発見もありました。それまでは、自分で頑張れば生きていける。そう思っていました。でも、やっぱり皆に助けられている。何かあったら、自分たちでも助けられるように。 今回、お話をいただいたとき「なんで私が…?」と最初は思いました。でも、これを行うことで、少しでもお役に立てるのならやってみよう… そう思い、お引きうけしました。

先月、地域の食材と料理を伝える勉強会を開けないか、ご相談したときのことです。

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この村は小さいけれど、実に多様な食材と食文化が生きている。それらも、誰かが伝え、受け継ぐ努力をしなければ失われていく。力を貸してください… そうお頼みしました。

そうして工藤さんとその仲間たちが披露してくれたのが、こちら。
島越地区につたわるハレの日、おもてなし料理。

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「6次化や商品化にはほど遠いけれど、心をこめたおもてなし。私たちの住む島越地区に伝わるハレの日、祝いの席でお出しする料理です」とは工藤さん。「皆さんのおかげで、こんなに立派に育ちました」とイタズラっぽく笑う姿が印象的です。

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勉強会では最初に「どんこなます」の調理を実演。担当したのは、早野フミ子さん。

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どんこなますは、先日の料理コンテスト「一般投票の部」でも「子・孫に伝えていきたい田野畑らしい料理 No.1」に選ばれました。村民にはおなじみの料理ですが、なかでもここ島越では「どんこ」を生では使わず、身は素焼きし、肝はしょうゆで煮付けるのが特徴と早野さんが説明。

続いて、工藤ヒロさんが「八杯汁」を実演。おいしいので8杯おかわりしてしまうのが名前の由来であること、内陸部ではシソの葉を入れたりするが、島越ではマツモを入れることなどを伝えると参加者の多くがうなずいていました。

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他にもアワビ、鱧(はも)の煮付け、茎ワカメの漬物(ダンディの辛味漬)、くるみ和え、赤飯、黒豆などがふるまわれました。

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(左から八杯汁、どんこなます、ハモの煮付、くるみ和え、茎ワカメの漬物)

内陸の羅賀地区から参加した宮森順子さんは「どれもおいしかったです。すまし汁の八杯汁は珍しく、醤油味とも違って甘味がちょうど良かったです」と満足した様子でした。他にも「田野畑とひと口にいっても地区ごとに違う料理、文化があるのがよく分かる。ぜひ他の地区でもやって欲しい」との声が多数聞かれました。

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今回は募集早々、申込が定員に達してしまったので広く告知できませんでしたが、次回、他地区で開催する際はこの「田野畑だより」でもご案内しますので、その際はお早めにお申し込みください。

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島越の港から望む三陸の海

朝のこない夜はない

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