田野畑村のおいしい!を育む「やまのひと。」 vol.9〜 農家・畠山啓一さん

菅窪地区の農家に育った畠山啓一さん。会社勤めを経た63歳の時、野生の樹1本からスタートした山ブドウ栽培は試行錯誤の繰り返しでした。それから25年、畠山さんが育てる山ブドウは、甘さと酸味のバランスが絶妙な田野畑の逸品となっています。

10月初旬、浜からほど近い丘の山ブドウ畑を訪ねました。およそ3反歩の平棚に育つ畠山さん自慢の山ブドウは、十分に熟して収穫を待つばかり。樹の上で完熟させた果実は渋みを感じるタンニンが少なく、十分な甘さと酸味を含んでいます。採れた山ブドウは田野畑村産業開発公社にてジュースやワインに加工。その味は「濃厚な味わい」「すっきりとした甘さと酸味がほどよく、ストレートでも飲める」と好評です。

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森林の多い岩手県は、全国一の山ブドウ生産地。久慈市や野田町などと同様に田野畑村の家々でも、昔から山ブドウの搾り汁を普段から飲む習慣があったと言います。そんな自然の恵みである山ブドウを、村で初めて栽培したのが畠山さんです。

「新聞で葛巻町が山ブドウ栽培をはじめたと知ってね。実家の遊休地で育ててみようと思いました。田んぼの近くに野生の山ブドウの樹があったので棚を作って、そこから徐々に増やしたんです。」

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飄々とした口調で当時を振り返りますが、そう簡単ではなく苦労もありました。土地や気候条件に合った山ブドウをいくつも育てて試し、本格的に収穫するまで8年の月日をかけました。肥料のやり方、防虫対策、収穫後の剪定作業など地道な作業を話せば尽きません。特に11月中旬から行う剪定作業は「冷たい浜風と冷え込んだ土、上も下も寒くて体にこたえます」と畠山さん。

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しかし、手をかけて育てた山ブドウは、酸味と甘みが絶妙のバランスを醸しだし、完熟した果実ならではの透明感あふれる濃厚な味わい。ジュースやワインに加工すると、輪郭のはっきりしたパンチのあるおいしさに仕上がります。「儲けようというつもりはなかったから」と畠山さんは長年一人で畑を守ってきましたが、今は田野畑村の貴重な特産物。息子さん夫婦がその技術と思いをしっかりと引き継いでいます。

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